【インタビュー】株式会社三昌製作所様

2026.07.10

パワー半導体に使われる部品を製造し、地球温暖化防止に貢献している株式会社三昌製作所

今回は強みや今後の取組について、代表取締役の山田孝氏、社長室 室長の山田昌樹氏、品質管理部の山田孝樹氏にお話を伺いました。

インタビュアー:株式会社ピューズ 吉永悠

株式会社三昌製作所 代表取締役 山田 孝氏

株式会社三昌製作所 社長室 室長 山田 昌樹氏

株式会社三昌製作所 品質管理部 山田 孝樹氏

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インタビューの様子(左から吉永、孝氏、昌樹氏、孝樹氏)

―会社の事業内容について教えてください。

山田 昌樹氏:弊社は1956年からの設立であり、事業内容として金属部品の金型製作とプレス加工を行っています。加工のうち98%は銅です。弊社が主に製造する製品は、ベース板(放熱板)やバスバー、ヒートスプレッダーになります。まず、ベース板について、弊社は板厚6ミリまでのプレス加工に対応しており、分厚い銅製の放熱板の供給を売りとしております。

山田 孝樹氏:金属プレス加工の業界では板厚1ミリ以上の銅は分厚いと言われており、板厚が2-3ミリ以上となると、そのプレス加工に対応できるところは極端に減ると伺っています。

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ベース板(放熱板) 

山田 孝氏:放熱関係の部品だけで売上の約8割を占めています。ベース板は主にパワー半導体の中でもパワーモジュールの方に使われる放熱板であり、特に大電力を扱う機器・設備への需要が大きいです。用途としては、産業用ロボットや、風力発電、太陽光発電などの再生可能エネルギー発電施設、変電所で使われるものが多いです。

山田 昌樹氏:続いてバスバーですが、厚銅材の曲げ加工にも試作として挑戦しています。バスバーとは、よく電気を効率よく伝えるため分厚い電極です。厚さが大きいほど電極の電気抵抗が小さくなるため、効率よく電気を流すことが必要な場面に使われています。弊社が導入しているプレス機の制限上、現状では手のひらのサイズまでの製品対応となります。そのサイズ制限がネックとなりますが、おそらく世の中には小さいが厚いバスバーを求める分野の可能性もあり、売り込みをかけているところです。

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バスバー(右:銅のみ 左:ニッケルめっきあり)

―今の事業に注力するようになった背景について教えてください。

山田 孝氏:昭和40年ぐらいですかね。最初はマイカ(雲母)のプレス加工によりマイカコンデンサ向け部品を作っていました。マイカは割れやすいためプレス加工は非常に難しく、この頃は全部ヤスリで削りだして作っていました。マイカをプレス加工できるように技術を磨いていきました。元々はパナソニックさんのテレビに使用される部品でしたが、マイカコンデンサの生産は日本から中国へシフトしていきました。そのため、マイカのプレス加工だけでは事業を続けられないとして、銅のプレス加工にも範囲を広げました。銅は柔らかく変形や打痕がつきやすく、油分や酸素と反応して変色するので、当時から銅のプレス加工に対応できる企業は少なかったと伺っています。

二代目社長が営業活動をしていた際、三菱電機さんから銅のプレス加工品に興味を持って頂けました。先方ではパワー半導体、パワーモジュールの生産ラインを立ち上げる時期と一致していたことがきっかけで、銅、とくに厚銅材のプレス加工の分野に進んでいきました。私が入社したのが平成元年ですが、その頃はほとんどがパワーモジュール、パワー半導体関係の金属部品を製造していました。その頃はまだパワーモジュールはニッチな分野であり、厚銅プレス加工の競合となる企業もいませんでした。パワーモジュールが非常にメジャーになってきたタイミングで、私がハイブリッドカーのパワー半導体用の部品を担当していました。トヨタさんの初代プリウスとホンダさんの初代インサイト向けの試作に関わらせていただいてから、ハイブリッドカー絡みの案件もいただくようになりました。ホンダさんは弊社ホームページをご覧になられ、先方もパワー半導体を内製化をしたいというタイミングでしたので、話がトントン拍子に進みましたね。

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実際のプレス機の様子(左:銅材を巻きほどき矯正する機械(アンコイラレベラー)、右:プレス機)

―仕事をしている中で感じたやりがいと苦労したことについて教えてください。

山田 昌樹氏:当社製品は、ハイブリッドカーやEVなどのエコカー、風力発電などの再生可能エネルギー関連に使用されています。また、産業用ロボットや電車向けに効率のよい電力使用を実現する製品にも使われています。そのため、弊社の製品が供給されることで、環境に優しい製品・設備が世の中に広がっていくことに繋がり、地球温暖化防止の貢献に携わっている実感があります。

苦労していることの1つは採用です。弊社では社員数は充足していますが、平均年齢が40代後半であり高齢化が進んでいます。特に特定の世代が多く在籍していることで、定年のタイミングで一斉に退職されるということも考えますと、それまでの間に若い社員を入れて世代交代をしなければいけません。

山田 孝氏:製造の面で苦労したこととしては、4年ほど前に材料である銅の入手が非常に難しくなったことがありました。車の電動化に世界が力を入れ始めた時期であり、熱や電気をよく伝える銅製部品の需要が高まると予測した電気部品メーカーたちが銅材の確保に回り、銅材が市場で不足する状態となりました。その時は、受注はあるのに肝心の銅材がない状態となってしまい、どこのメーカーさんも4年前は結構痛い目にあっていました。 

―今後の環境に配慮した取り組みについて何か考えていますか。

山田 昌樹氏:弊社の建屋屋上に太陽光パネルを設置し、電力の一部自給自足を検討しています。その取り組みにより、弊社の電力使用量の30%を自給自足で賄える予想です。現在、弊社が使用している電力は、電力会社との契約により、再生可能エネルギー電力を購入しています。また、弊社の照明を蛍光灯・水銀灯からLEDに変えました。

―京都との関わりについて教えてください。

山田 昌樹氏:京都の中小企業が外部との繋がりを取得するのは、京都の金融機関です。なかでも京都銀行さん、京都信用金庫さん、京都中央信用金庫さんの三行が非常に強いです。業界問わず様々な情報も持っていますし、人・会社の紹介などのご協力を頂いております。

山田 孝氏:京都工業会や京都金属プレス工業会など、製造業における同業者の会に入っていますので、そちらを通じて地元へ貢献できればと考えています。

―事業をパワー半導体以外に伸ばしていきたい分野について何かありますか。

山田 昌樹氏:現在AIの普及によりデータセンターの建設が盛んですので、データセンター向けのバスバーや放熱板などの需要を探しています。もう一つは防衛産業関係です。防衛産業は現在国が力を入れている分野ですので、可能性があれば参入したいと考えています。参入の可能性を探るために、今年2月に東京で開催された防衛産業に中小企業が参入するための展示会(防衛産業参入促進展)に出展致しました。ただし、弊社が得意とする厚銅プレス加工の技術は、現在の防衛産業関係者が求めていらっしゃるものと違っている可能性を見出しました。銅は電機や熱を伝える面では優れていますが重いため、航空機やドローンなど空を飛ぶものに対する採用が難しいのかもしれません。

また、当社では銅以外の材料のプレス加工にも挑戦しています。特殊な材料として、アルミ材を銅箔で挟んだもの(銅クラッドアルミ材)があります。アルミの軽量化と銅の特性を併せ持つ材料になりますが、日本では部品としての使用実績がないので、どこのメーカーも使用を決めかねている状況です。銅が表面にある分、アルミ材よりもめっきはつけやすいことは強みの一つかもしれません。ただし、銅とアルミの特性を上手く兼ね揃えた夢の材料か、それとも銅とアルミのどっちつかずの材料となるのかは判断が分かれます。

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銅クラッドアルミ材

―現状の課題とその向き合い方について何かありますか。

山田 昌樹氏:弊社は業務のシステム化は程度進めてきましたが、データの記録・やり取りにおいて紙媒体が未だ多いところや、電子化したデータもフォルダ内で至る所に散らばっている状況に課題を感じています。現在の試みではMicrosoft 365の利用により製品に関する情報を一元管理することで、求められた情報を短時間で入手できる仕組みの構築を進めています。また、他の買い切り版のDXサービスとは異なり、Microsoft 365では必要に応じて様々な自動化プログラムを作れるなど、用途に応じて潰しが効くみたいです。業務のシステム化が進みましたら、新しく社員を雇用するのではなく、AIを利用した省人化などの選択肢も取れます。

山田 孝氏:また、販路の拡大も課題の一つです。既存顧客からの新規品も取ることに加え、展示会への出展を始めとした営業活動も積極的に行っています。その活動の成果として新規の取引先が増えたら、と思っています。

―最後になりますが、今後どのような会社にしていきたいですか。

山田 昌樹氏:「金属加工で世の中に貢献する」という軸は守りながらも、組織の若返りによる出てくる柔軟な発想により、銅材以外の材料やプレス加工以外の加工法なども取り入れることで、世の中の変化に適応できる会社としたいです。

所感】

今回訪問して、この会社は昔から培ってきた銅の加工技術でパワー半導体を使う業界に貢献をしており、CO2排出を抑えて地球環境に配慮した活動を積極的に行っているところだとわかりました。また、今後の社会に合わせて柔軟に対応していくことで、1000年先でも続けていけるような会社ということが分かりました。

今回訪問させていただいた理由として、私自身パワー半導体はよく使用していたましたが、部品の製造について着目したことがなかったため、インタビューを行った形となります。実際にお話を伺うと、材料,加工による違いなどを学ぶことができ、工場見学もさせていただいたことで深く理解することができました。また、私自身が質問をすることが苦手だったのですが、この機会を通して成長できたと感じられました。(吉永悠)

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